私たちは、当たり前のように色を見ていると思っています。しかし、そもそも色とは何でしょうか。
ここでは色とは何か、ということを見ていきます。
私たちは眼をあけると、多くの場合フルカラーの世界が広がりますが、なぜこのように色が見えるのかを見ていきましょう!
色はなぜ見えるのか
色を見るためには3つの要素が必要です。それは光と物体と視覚(眼)です。そして、この3つの状況が変わると色の見え方が変わります。
光源…光には自然の光(太陽光)と人工の光がある。
人工光…白熱電球→全体に黄みから赤みが買って見える。 蛍光ランプ→全体的に少し青みがかって見える。
物体…物体も面積や素材の違いなどで見え方が変わります。
眼…光と物体があっても、眼が閉じられていたら色は分かりません
また眼も例えば高齢者と若い人とでは色の見え方が変わります。
色はなぜ見えるか
色は光が物体に当たり、その反射した光を私たちの眼が捉え、その情報が脳で処理されて色を認識します。
この3つの要素の状況が変わることで色の見え方が変わるということを理解することが色の勉強ではとても大切なことになります
光とは
電気と磁気のエネルギーが波となって空間に伝わっていく電磁波の一種。
1.電磁波(でんじは)
- 振幅と波長で表すことができる
- 振幅…波の山の高さ→波の大きさを表す。
- 波長…波の山から山までの長さ→波の周期的な変化の程度を表す。
- 単位…nm(ナノメートル) 1nm=100万分の1mn
2.可視光(かしこう)
可視光…電磁波の中で、人間の眼が感じることのできる波長範囲(約 380nm~780nm)
短波長(約 380nm~500nm) 中波長(約 500nm~600nm) 長波長(約 600nm~780nm)
- 紫外線…可視光の短波長側の外側にある電磁波で、日焼けの原因となる
- 赤外線…可視光の長波長側の外側にある電磁波で、熱を感じる
可視範囲以外の電磁波は人間の眼では感じることが出来ません。
• 紫外線:可視光の短波長側の外側にある電磁波で、日焼けの原因となる
• 赤外線:可視光の長波長側の外側にある電磁波で、熱を感じる
紫外線や赤外線は見ることができませんが、存在していますよね!
3.太陽光とスペクトル
- 複合光…太陽光のように複数の波長の光によって構成されている光
- 白色光…昼間の太陽光のように、色みを感じさせない無色の光
- 単色光…光をプリズムなどによって分光して得た、単一の波長の光
- スペクトル…分光された光の帯(白色光をプリズムに通すと波長ごとに分光される)
スペクトルの順番→長波長側から 赤→橙→黄→緑→青→藍→青紫の順に並ぶ。
4.分光分布
光を波長ごとに分けて、強さと波長との関係をグラフで表したもの
どのような波長の光がどのような強さ(比エネルギー)で含まれるかがわかる
分光分布は光源の波長を表したものなので、分光分布をみるとどのような光の色をしているかがわかります。それに対して、物体の色をグラフに表したものが分光反射率曲線です。
5.光の性質と色
①物体の色の見え方
- 物体に当たった光は、表面で反射・透過・吸収のいずれかの形をとる。
- 物体の色は、可視光のどの波長をどれだけ吸収し、反射(あるいは透過)するかによってきます。
光を通さない不透明な物体→光が反射するか吸収される。
光を通す透明な物体→光が透過されるか吸収される
不透明な物体の見え方
- 白く見える物体→太陽光が当たると、可視範囲のほぼすべての波長の光を反射する。
- 黒く見える物体→太陽光が当たると、可視範囲のほぼすべての波長の光を吸収する
- 赤く見える物体→太陽光が当たると、可視範囲の波長(赤の領域)の光を多く反射し、残りの波長の多くが吸収される。
② 分光反射率曲線→物体が光の成分(スペクトル)をどのように反射するかを表したグラフ
→グラフの曲線から、各波長の反射率(あるいは透過率)がわかり、物体の色がどの波長の光の反射(あるいは透過)によるものかがわかる
物体の色の違いによる分光反射率曲線 例 白・黒・赤
- 白→反射率が全体的に高く、どの波長もまんべんなく反射している。
- 黒→反射率が全体的に低く、どの波長もまんべんなく吸収している。
- 赤→長波長(赤)の波長の反射率が高い。
③反射/透過
正反射(鏡面反射)…入射角と反射角が等しく反射する 例)鏡など
拡散反射…入射した光があらゆる方向に散らばって反射する 例)光沢のない紙、表面に凸凹のある物体
正透過…入射した光が直進して物体の反対側に出る 例)透明ガラスなど
拡散透過…入射した光がさまざまな方向に散らばって出る 例)曇りガラスなど
色が見えるプロセスのまとめ
リンゴが赤く見えるのは、太陽の光がリンゴの表面に当たり、赤以外の波長がリンゴの表面で吸収され、赤の波長(長波長)が多く反射し、その光を眼が捉え、脳に伝達されて赤く見えます。
緑の物体なら緑の波長(中波長)、青の物体なら青の波長(短波長)の光を眼がとらえ、その波長の色が伝達されて色として認識されます。
赤ワインやステンドグラスの色など、光を透過する物質の場合は分光透過率曲線で表すことが出来ます。
④光による現象
カラーコーディネーター 涼子
ここでは現象名と内容、具体例を整理して覚えましょう!
ここでは現象名と内容、具体例を整理して覚えましょう!
屈折…違う物質の境界を斜めに透過するときに光の進路が変化する現象 例)水入りのコップにさしたストローの屈折やプリズムによる分光、虹など
干渉…複数の波が重なったときに、波の山と山が足されて強めあったり、山と谷が打ち消しあい弱めあったりして起こる現象 例)シャボン玉の表面
真珠の「てり」といわれる輝きや光沢は、この干渉が大きくかかわります
回折…波が障害物に当たったり、小さな隙間を通過したりした後、波がその先に半円を描くように広がって進む現象。例)CD(コンパクトディスク)など
散乱…光が大気中の気体分子(ちりや水滴)に当たり、あらゆる方向に散らばる現象 例)昼間の青空、夕焼けなど
晴れた空がなぜ青いのか?子供の頃疑問に思った人もいると思いますが、この散乱で解決できます。太陽の光が大気に入ると、ちりや微小な水滴などによって光が散乱されます。そして、短波長の光ほど散乱されやすいので青い光が散らばることになり、青い光が眼に届くことになります。そして夕方になると、太陽が傾き、大気層を斜めに横切るので、太陽と地球の距離が長くなります。そして、短波長は大気層に入ると早くに散乱されてしまい、残った長波長の光が私たちの眼に届き、赤く見えることになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
色を見るために必要な3要素の、光と物体と眼のことや、光と色との関係についてみていきました。試験対策の場合、この内容はよく出るので、用語を整理して覚えておくことが大切です。